◆  七 宝 焼 き  

七宝焼きとは金属工芸の一つで伝統工芸のひとつ。

 金属を素地にした焼物になります。

 

金・銀・銅 などの金属素地にガラス質の釉薬(ゆうやく)を盛り800度から900度前後の高温で

焼成することによって融けて綺麗なエメラルド色の光った彩色になります。

 

焼成は数分で炉から取り出すと釉薬が溶け表面が綺麗なガラス状の幕を張り、色鮮やかな光沢が生まれます。

七宝焼きは、室町時代に京都の仏殿に飾られた金・銀・瑠璃(るり)、琥珀(こはく)真珠(しんじゅ)、

瑪瑙(メノウ)など数々の宝石や金属に匹敵する美しさの、という意味でその名が付けられたと言われています。

 

古来より煌びやかで、非常に美しいものとされた七宝焼きには、

その長い歴史の中で実に多くの技法やデザインされた品物が形になっています。

その中にはエジプトのツタンカーメンのマスクは七宝焼きで出来ていると言われています。

 

自宅でも家庭用の小さな電気炉を購入すれば初心者でも楽しめる工芸品ですが、

色々な技法あるので高度な技法を知りたい、身に着けたい為には学んだ方が良いと思います。

 

また、数多くの色、様々な技法を組み合わせて表現して形になり作品として大きな壺から、

お皿、身に付けれる小物、アクセサリーなどがあります。

 

 


 

七宝焼きの代表的な技法

 

 盛り七宝(多色盛り)

 

素地の上にサインペン・墨などで図柄を描き透明・不透明などの色々な釉薬を盛りつけて

模様を表現する基本的な技法です。

またこの技法が基本的な盛り方、応用技法の最初になります。


 銀張り七宝

 

素地(純銅・丹銅)に下引き用釉薬を盛りつけて焼成し、表現を純銀の箔で包み込み

さらに釉薬を盛りつけて焼成する技法です。

透明色・半透明で彩色して焼成すると銀箔の光沢が乱射し、効果的な発色が得られます。

有線・無線をデザインによって取り入れる場合もあります。


 

 書割り七宝

線など表現したい色を最初に下地として焼成してさらに上地に反対色の釉薬(濃い目の色の釉薬)

を盛ります。

乾燥後上地の釉薬を竹串、針(書き割り棒)などで書き取り現れた下地の色の模様を表現する方法になります。

 


 噴釉七宝

性質の違う下地の釉薬が焼成時に上の釉薬を押しのけて噴出する表現を墳釉といいます。

この技法の場合、下地に不透明を盛り付け、上に透明を盛りつけると噴釉が効果的です。

下地となる釉薬は要点が低く流動性のあるものが、最適です。

高温で焼成した場合は細かな模様。低温で焼成した場合は粗い模様になります。


       

 平脱七宝(へいだつ)

漆器や陶器などで知られる技法で、螺鈿(らでん)の貝や、金、銀、鉛、のうすい板を自由な文様で切り貼りしたものを平脱といいその技法を七宝に応用したものです。ベースの色を焼成した素地に、銀箔又は銀箔模様を張り付けてから、さらに透明釉薬を盛りつけて焼成します。色釉薬で彩色された箔部分の輝きがとても美しい技法です。


 

 金銀箔七宝

一色盛りで焼成したベースに、金箔、銀箔(うすはく)をのせて焼成すると釉薬が溶ける際に箔に美しい亀裂が生じ、

不定形なおもしろいデザインが出来る技法です。

 

 窯変七宝

窯変七宝とは不透明色の釉薬を高温で焼成すると温度やガス等の影響で透明状態に変化する現象を効果的に利用した技法です。各種の釉薬の性質、盛の厚さ、焼成温度、時間のすべてが調和して完成する芸術的な技法です。これに使用する釉薬(窯変釉薬)は一般の不透明釉薬よりこの現象をたやすく起こすように調合されています。


 

 マーブル七宝

何種類かの釉薬をしま状に又は、渦巻き状に釉薬を盛り、釉薬が溶けた状態の時に炉の扉を開け

(マーブル棒)で静かに流動させ、マーブルの様な流水模様を表現する技法の1つです。

数色の不透明釉薬又は透明・不透明色の組み合わせや配置によって多数のバリエーションの模様ができます。

 

 有線七宝

金属素地に下絵を描き、その模様にそってリボン状(金・銀・銅・真鍮など)を細工しながら植線し、線で囲まれた部分を釉薬で色分けして焼成し研磨仕上げをする方法です。

日本の伝統七宝と呼ばれ有線七宝を使った作品は多いです。


 ミルフィオリ(1)

ミルフィオリは伝統あるベネチアンガラスの一つで、千の花という意味です。

金太郎飴のように、色とりどりの小花を封じこんだガラス棒をカットした模様フリットです。

ガラス工芸に使う事が多いですが七宝にもアクセサリーから小物工芸品まで幅広く活用されています。

中でも、純銀枠の中に放射線状に並べて焼成した透胎アクセサリーなどはミルフィオリの美しさを

生かした技法になります。


 ミルフィオリ(2)

ミルフィオリは、銀や銅素地に盛り付けた七宝釉薬と併用して焼成することもできます。

七宝の技法とのコンビネーションでさらに制作の幅が広がります。


 フリット七宝

フリットを使いデザインする技法です。

フリットとは、釉薬を粉末にする前の粒状の釉薬になります。

粒の大きさや、焼成時間によって色々表現ができます。

フリット釉薬は粒状(透明・不透明・混色)のものや、板状(モザイク)棒状(スレット)など、形や色も様々なものがあります。

 


 

 

 

 転写七宝(金彩プリント)

金彩プリントはイラストプリントと同じ、単色で釉薬を盛り付け、焼成した表面に転写し乾燥後に焼成・溶着させる技法、

プリントの種類は色々あります。

 

 

 転写七宝(イラストプリント)

素地に単色で釉薬を盛り付け焼成した表面に、イラストプリントを転写し貼り付けます。

乾燥後に焼成・溶着させる技法です。

デザインも豊富で花柄を中心に、イラスト模様や自由に切って構成できる単色シートなど豊富にあります。

七宝・ガラスに使用出来ネックレス、小物など幅広活用できます。


 銀地七宝

ロストワックスのシルバーリングや、彫金板など、純銀(Ag999)の素地に釉薬を盛りつけて焼成する技法です。銅と違い酸処理の必要もなく、簡単な前処理(空焼き)で作業を進めることができます。

ただし(赤系・ピンク系・ゴールド系の釉薬を使用する際は必ず白スキS-302で下引きをして下さい。)それをしないと焼成後黒くなってしまいます。

 

 

 描画七宝

ホーロー板の上にセラミックマーカーで輪郭を描き一度焼成します。

その後釉薬を盛り好みの釉薬を盛り乾燥後焼成し完成です。